けろこ堂日乗(β版)

けろこ堂日乗のHatenaブログ版です。

2007-01-01から1年間の記事一覧

有頂天家族

森見登美彦の「夜は短し歩けよ乙女」(d:id:mhana:20070204を参照)が第20回山本周五郎賞だそうだ。めでたいことだ。亭主はこの賞がどれほど有り難いものかは知らぬが、きっと森見氏の原稿単価アップにつながるであろうし、出版社の待遇も良くなるのだろう…

ウォッチメイカー

ジェフリー・ディーヴァーのリンカーン・ライム シリーズ最新刊である。今回は、リンカーンにとって最強の敵「ウォッチメイカー」が登場する。どう最強なのか?リンカーンは勝利するのか? 例によって、ミステリィはネタバレになるようなことは書けないし、…

図書館革命

有川浩の「図書隊シリーズ」完結編である。 前作で見せた熱血さは、ややトーンダウンしているが、これは主人公笠原郁の心境の変化を反映しているのだろう。その分、郁と堂上の関係の変化に重きが置かれている。一言で言えば、完結編らしく、きれいにまとめた…

遠まわりする雛

米澤穂信の「古典部シリーズ」最新刊である。野生時代などに掲載された短編に、書き下ろしの表題作を加えた作品集になっている。 ミステリイの紹介は難しい。下手を書けばネタバレになってしまうし、かといって「面白いから読め」ではいくらなんでも愛想がな…

エアボーンとスカイブレイカー

数奇な運命に翻弄される少年と少女、巨大な飛行船、空賊・・・とくれば、誰しも思い出すのは、あの大カントクの「天空の● ラ●ュタ」であろう。この組み合わせは日本に限らず海外でも結構受けるらしく、カナダ在住の作家ケネス・オッベルのファンタジー「エア…

新宿御苑の秋バラ

今日は良い天気なので、新宿御苑に行ってみた。 一応、紅葉の撮影ポイントを下見するためだが、秋バラが咲き始めたということなので、これも撮っておきたい。 到着したのは10時過ぎだったので流石に空いていたが、カメラを手にした人と何回もすれ違う。しか…

獣の奏者

この上橋菜穂子のファンタジーが何やらのランキングで1位になったようだ。結構なことだ。いわゆる幻獣、神獣の類はファンタジーにかかせないが、その生態を物語の中核に据えた作品はそれほど多くないと思う。「獣の奏者」はそういう希有な作品だ。 闘蛇とい…

Moonlight Shadow

中秋の名月ということで、今年は写真を撮ってみた。 ご覧の通り、本日はほぼ満月である。おそらく14夜と15夜の間ぐらいか。 快晴の月はもちろん良いが、雲居に紛う月もまた良い。 亭主は、月にかかる雲を見ると必ず思い出す曲がある。マイク・オールドフィー…

妖精の国の花

このところ、すっかり定例化してしまった自然教育園参り。今日は朝一番(といっても9時過ぎ)に行ってみた。 秋は名ばかりの暑さだったが、野草の顔ぶれは大分変化が出てきた。特に面白かったのは、ヤマホトトギス(ヤマジノホトトギス)、カリガネソウ、ツ…

実りの秋

9月に入ってもちっとも涼しくならない。まぁ、最近の東京はこんなものである。 自然教育園のWEBサイトをみたら、ヒガンバナが開花しているとある。早速観に行った。 確かに水生植物園の中に真っ赤なヒガンバナが咲いていた。まだ、数は少ないが、これから…

自然教育園の夏

今年の夏はよんどころなき事情により、夏休みは無し。 そのかわりといってはなんだが、ついにデジタル一眼レフカメラ(いわゆるデジイチ)を衝動買いした。一眼レフというのものは当然レンズが別売りである。ボディとセット売りするためのキットレンズ(ズー…

水惑星年代記

暑い毎日が続いている。そのせいかメディアに「地球温暖化」という言葉が上らない日はない。亭主には「地球温暖化」なる現象の正体を論じるための知識も情報収集力もないので、この話題については「わからない」とはっきり言うことにしている。ただし、近年…

クリエイティブ・クラスの世紀

リチャード・フロリダの「クリエイティブ・クラス」に関する三冊目(亭主が知る限り)の著作"The Flight of The Creative Class"の邦訳。同僚から都市社会学の研究者の間で話題になっていると教えてもらったので読んでみた。 表題にある「クリエイティブ・ク…

鯨の王

1998年だからもう10年近く前のことになるが、ボストンでホエールウォッチングに参加する機会があった。ボストンの港から1時間以上走って外海に出るとザトウクジラ(humpback whale)の群れに出会える。運が良ければ間近にブリーチング(背面跳びのように大き…

玻璃の天

「街の灯」に続く、北村薫の「ベッキーさん」シリーズ中編集だ。前作では「わたし」こと花村英子のボディガード兼運転手であるベッキーさんの水際だった格好良さと、その謎めいた有り様がストーリーをひっぱっていたが、本作品ではベッキーさんの秘められた…

算法少女

1974年にサンケイ児童文学賞を受賞し、数学教育の関係者から熱烈な支持を受けながらも永らく絶版となっていた幻の作品が、ちくま学芸文庫によって復刻された。亭主は昨年この本の存在を知ったが入手不可能ということであきらめていたところ、偶然にも書店に…

中世賤民の宇宙

昨年逝去した阿部謹也の著作集である。阿部の著作としてはなんと言っても「ハーメルンの笛吹き男」が有名であり、亭主の認識もその程度だったが、どちらかというと読み物的な「ハメールン・・・」とは異なり、この著作集は著者の中世に対する学術的洞察が中…

Planet Earth

よく知られたBBC制作の映像ドキュメンタリー作品だが、アメリカで発売された5枚組コンプリートBOXを入手した。NHKで放映されたものとは違い、山崎某の余分なシーンがはいっていない上にナレーションはアッテンボローである。しかも価格は国内版より圧倒的に…

時をかける少女

昨年の夏に公開され、制作会社も配給会社も予想しなかったロングランを記録した作品だ。 アニメ・ファンの間で評判が高かったのはもちろんだが、アニメに関心のない層の支持を受けたことが、ロングランの一因になったと、配給側は分析している。作品を観て確…

精霊の守り人

上橋菜穂子という作家を亭主は最近まで知らなかった。この不明には恥じ入るばかりだが、荻原規子と双璧をなす日本ファンタジー界のエースが、荻原と同じく亭主とほぼ同年代だという。 この作品は児童文学として数多くの賞を受賞し、外伝を含めて10冊が刊行さ…

これは王国のかぎ

いまさらながら、荻原規子の「これは王国のかぎ」である。 実は荻原の長編作品の中でこれだけが未読だったのだ。主人公「上田ひろみ」は別の長編「樹上のゆりかご」にも登場するのだが、こちらを先に読んでしまったので、ずっと気になっていた。もっとも、こ…

走れメロス

もう1ヶ月以上たってしまったが、森見登美彦の最新刊は、近代文学のリミックスである。 もっとも「小説NON」に連載された作品を収録したものなので、本書が出る前にすでに読んでいた人も多いだろう。 「山月記」「藪の中」「走れメロス」「桜の森の満開の下…

図書館危機

以前、とりあげた有川浩の「図書館」シリーズ第三弾である。 今回のストーリーはどちらかといえば直球勝負の熱血物語である。人様がどう評価するかは別として、亭主はこういうお話は結構好きである。何と言ってもわかりやすいし、ちゃんとツボで泣かせてくれ…

アンビエント・ファインダビリティ

著者のPeter Morvilleは、WEBサイトの情報アーキテクチャについての著作が有名であるが、この本は彼の発想の基本を綴ったものである。技術書ではないし、学術書とも違うので、エッセーと呼ぶしかないだろう。 興味深いのは著者のバックグラウンドがライブラ…

夜は短し歩けよ乙女

何でも、この本がTV等で取り上げられているらしい。結構なことである。 亭主が森見登美彦の作品を読んだのは「太陽の塔」が最初。もう何年も前のことだ。この人は「お友だち」かもしれん、と思った。その後「四畳半神話大系」を読んで確信を得た。著者の意向…

渋滞学

ここのところ読書ペースが落ちてしまい、この日乗も月1以下になってしまった。これでは月乗である。たまに訪れていただく方には申し訳なく思う。 本を読んでいないわけではないのだが、紹介したいと思うものが少ないということだ。 2007年の最初の1冊は「渋…