けろこ堂日乗(β版)

けろこ堂日乗のHatenaブログ版です。

歴史

フェリペ・フェルナンデス=アルメスト:『食べる人類史』

必要があってフェンルナンデスの「食べる人類史」を読み始める。 早々にいくつかのキーワードの翻訳に疑問を感じる。 原書にあたる必要がありそうだ。 食べる人類誌―火の発見からファーストフードの蔓延まで (ハヤカワ・ノンフィクション文庫) 作者: フェリ…

貧民の帝都

鮫ヶ橋、万年町、新網町、新宿南町。 この町の名をみて、東京四大スラムとわかるなら、かなりの東京通であろう。 江戸非人頭の評伝を著している塩見鮮一郎が「東京養育院」の誕生から消滅にいたる軌跡を様々な史料に基づき丁寧に追いかけたのが本書。これは…

勇将の装い

黒澤明監督による「影武者」を初めて観た時、あまりにもカッコいいデザインの甲冑が登場して、驚かされたものだ。特に作中で信長が所用していた、西洋甲冑をベースにしつらえたと思われる南蛮具足の印象は強烈で、亭主が甲冑のデザインについて興味を持ち始…

算法少女

1974年にサンケイ児童文学賞を受賞し、数学教育の関係者から熱烈な支持を受けながらも永らく絶版となっていた幻の作品が、ちくま学芸文庫によって復刻された。亭主は昨年この本の存在を知ったが入手不可能ということであきらめていたところ、偶然にも書店に…

中世賤民の宇宙

昨年逝去した阿部謹也の著作集である。阿部の著作としてはなんと言っても「ハーメルンの笛吹き男」が有名であり、亭主の認識もその程度だったが、どちらかというと読み物的な「ハメールン・・・」とは異なり、この著作集は著者の中世に対する学術的洞察が中…

ブンダーカマーの快楽

先週、京都の某学会の特別企画で、荒俣宏の講演を聴いた。内容はブンダーカマーの荒俣流解釈をメインに、化け物と博物学との関係や、化け物輸出国としての日本についてといった実に興味深いものだった。 決して失礼な意味ではないが、生「アラマタ」は凄い。…

Nobさんの飛行機グラフィティ

航空機ファンでNobさんこと下田画伯の名を知らない者はいないだろう。それほどNobさんの画風はユニークだ。亭主はいわゆる「三等身メカ」の元祖こそNobさんであると思っているが、その真偽は置くとして、少なくとも亭主が航空雑誌を読み出した1970年代前半に…

遊学

亭主が松岡正剛氏の名を知ったのは「遊」という雑誌を手にした時が最初であったと思う。当時は大学の3年くらいではなかったか。なんだか難しいことが書いてあるが、格好がよい本だ、と思った。それが伝説の雑誌であることを知るのは、ずいぶん後になってから…

剱岳-点の記-

この本のサブタイトルを見てピンときたら、あなたは地図マニアだ。 新田次郎の手になるこの作品は、山岳小説の傑作であるとともに、非常に珍しい地形測量をテーマにした小説でもある。サブタイトルの「点の記」とは、三角点を設置する際に作成される記録のこ…

フェルマーの最終定理

大分古い本だが、最近文庫版が出た。ワイルズの証明がハイライトであるのはもちろんだが、ピュタゴラスに始まる数論の歴史をわかりやすく紹介しており、数学史の読み物としても優れている。数式のそれなりに出てくるが、基本的には四則演算なので亭主にも理…