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DACの電源を交換する

さて、Firestone AudioのDACであるSPITFIREだが、3万円ちょっとという価格とは思えない高音質である。これはあたりだったと思う。少なくともアキュフェーズDP-55のDACと聞き比べても遜色がない。それで24/96のソースが再生できるのだから幸せである。
ただし、音質には若干のキャラクターがあり、前回書いたように若干明るめに感じる。これは海外のレビューを読んでも同じことが書いてあるので、かなりの人がそう感じるのだと思う。
ところでBRAVOもSPITFIREも電源は同じ24VのACアダプターを使う。USBバスパワー駆動ではない。このACアダプターが小型のいかにも頼りないもので、これで24Vも出して大丈夫か、という感じがする。実はFirestone AudioはSOURCEという名の専用電源ユニットも製造しているのだが、日本には輸入されていない。理由は問い合わせていないので不明だが、おそらく規格か認可の問題ではないかと思う。これを使うと効果がある、という記事が海外のサイトに載っていたので、直接オーダーしようかと思ったのだが、どうせなら実験をかねて自作しようと思い立った。
自作とはいっても亭主は回路設計などできないので、とりあえず市販の大きめのスイッチング電源ユニットを買ってきて、ケースに入れただけである。スイッチング電源はTDKラムダ製の24V1.3Aで、よくみかけるケージにはいったユニットタイプのもの。電源ケーブルは一応気を遣ってオヤイデの1.25スクェアのキャブタイヤとホスピタルグレードのプラグを使い、筐体はアルミ製のものを使ってみた。制作費は結局1万2千円くらいかかってしまったが、プラグを普通のグレードにすれば、1万円以下で作れるだろう。
さて、その効果だが、明らかに改善されたのは低域の力強さだ。さらに長い残響音やエコーが明瞭になり、全体として音場がすっきりした。亭主が好んで聴く古楽のペアマイク録音のソースでは投資なりの効果があったと思う。
もっとも、オーディオファンの間では「スイッチング電源=悪」であって、間違いなくお叱りをうけるだろう。しかし、PCオーディオにはまだ検証されていない分野が多く、電源の影響についてちゃんと実験している方はまだ少ない。オーディオ評論家の御田氏はその一人だが、たまたまセミナーで質問する機会があったので、亭主の対策についてご意見を伺ってみた。お答えは、スイッチング電源でも容量を大きくすることの効果はあるだろう、とのことだった。もちろん、スイッチング電源がよいとおっしゃったわけではないので、くれぐれも誤解の無きようにお願いする。また、大阪のエーワイ電子ではトランス式汎用電源の注文製作もやってくれるという情報もいただいた。
いずれにしても、PCオーディオの分野はデジタル+アナログの楽しさが溢れている。細かい主義主張は脇に置いておいて、皆で盛り上げてゆけば、まだまだ面白くなる分野だと思う。1980年代のオーディオ全盛期には及ばないかもしれないが、メーカーもユーザーも新たなフロンティアに活路を見いだせることを願ってやまない。(続く)

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左から、BRAVO(DDC&DSP)、SPITFIRE(DAC)、自作電源ユニット