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J.River Media Centerの導入

PCオーディオでは、ハードウェアの役割が重視されがちだ。もちろん、マーケットが賑わって高性能な製品が続々と送り出されるようになるのは大歓迎である。その一方で、PCをトランスポートとして使うためには、音楽再生ソフトウェアに対してもハードウェアと同等かそれ以上の関心を払う必要がある。しかし、不思議なことにHiFi用に使用できる音楽再生ソフトェアは、ごく限られているのが現状だ。
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Linux系のソフトウェアは以前書いたとおり、比較的種類があるが、Windowsではfoobar2000がほとんどデファクトになりつつある。foobarは優れたソフトウェアだが、はじめからHiFiを目指して作られたものではない。そのため、オーディオの中枢としてみると不満を感じる部分もある。foobarをどうこうしようというよりも、HiFi用として作られた音楽再生ソフトェアがあるのなら、それを使ってみたいと常々思っていたところ、目についたのが「J.River Media Center」(JRMC)だ。
このソフトウェアは、有料だが30日間試用できるので早速インストールしてみたところ、これがなかなか良い。
HiFiオーディオ用ソフトウェアとしてみた場合の最大の特徴は、標準状態でWASAPI排他モードに対応していることに加え、WSAPIのEvent Styleもサポートしていることだ。(http://wiki.jriver.com/index.php/WASAPI)
さらに音楽ファイルをメモリに一度読み込んでから再生するという機能もあり、わざわざRAMディスクを構成する手間が省けるのもうれしい。また、サンプリングレートコンバータも標準で実装されており、使用しているオーディオデバイスの性能にあわせてコンバージョンが行われる条件を設定できる。例えば、44.1kHz〜96kHzのDACを使用している場合、96kHzを超えるサンプリングレートのソースは自動的に96kHzにダウンコンバートするように指定すれば、96kHzまではコンバージョンがかからない状態で聴くことができる。もっともアップコンバータしても音質の劣化はほとんど感じられないし、ソースによってはむしろ良くなる。ビットパーフェクトに拘らない限り、常時アップコンバートでも問題ないと思う。
こうした機能の総合的な効果か、音質はfoobar(もちろんWASAPI)よりも明らかに良い。これは聴いたとたんにわかる。ただし、決して軽いソフトウェアではないので、NetbookやバリューPCで使っても(HiFiオーディオ的な)性能は発揮しないと思う。
音質とは関係ないが、メディアサーバー/クライアント機能も実装されているので、他のPCやスマートフォンを端末にしてリモートコントロールができる。クライアント側はWEBブラウザベースなのでアプリケーションをインストールする必要がない。これはかなり便利である。
JRMCはその名の通り、マルチメディアセンターであって、音楽再生に特化したソフトウェアではない。有料製品だけに多機能で見栄えも悪くないが、ストイックに音楽ソースのHiFi再生を追及する方には、余分な機能が多すぎると映るかも知れない。その意味では好みがはっきりわかれるソフトウェアだが、これで約5,000円はお買い得である、と亭主は思う。
亭主のオーディオ仲間達もこれには同意見で、結局皆JRMCユーザーになってしまった。このソフトウェアはもっと高く評価されてもよいと思うのだが、多機能ゆえにiTunesと比較されたり、本質的な音の良さが知られていないかもしれない。今後も改良を続けてくれることを切に願って、応援していこうと思う。

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WASAPI Enent Styleの設定
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メモリからの再生モードを設定