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Audio-GD NFB-10WM

さて、タイトルをみただけで何かわかる方は、よほどのオーディオファンである。
Audio-GDは中国(おそらく広東省温州)のオーディメーカーでだが、中国製にありがちな廉価なデジタルオーディオとは一線を画した、「まともな」オーディオを作るメーカーとして欧米にも知られている。
このメーカーの存在を知ったのは、佐々木さんのブログ"Music TO GO"のレビューによる。
会社のWebサイトはいかにも怪しげだが、秋葉原のマニア向けショップの通販サイトに相通じるテイストがある。
重量級のアンプ類をラインナップする一方で、DAC関係の製品も多く、デジタルソース+高品質アナログという明確な路線をとっていることが特徴だ。
売れ筋は、比較的廉価なDAC内蔵ヘッドフォンアンプのようだが、上位機種のDACにはフルバランス、無帰還回路構成を採用するなど、アナログ的なこだわりを見せているところが亭主の琴線に触れた。
カタログ情報をためつすがめつ検討すること数ヶ月。最終的に白羽の矢を立てたのが、表題のNFB-10WMというモデルだ。
キャンペーン期間で定価の5%off、さらに折からの円高のおかげで送料を除き7万円を切る価格で購入できた。支払いはPaypalが使えるが、見積もりもオーダーもEメールを出さなければならないところが、慣れない人には敷居が高いかもしれない。亭主の場合は、Eメールの返事もすぐきたし、発送の通知を受け取った後、ほぼ予定通りに製品が届いた。
この製品は、分類としてはDAC内蔵ヘッドフォンアンプだが、大きさといい、仕様といい、むしろヘッドフォンアンプ付きプリアンプと呼んだほうがよい。
詳細は、同社のWebサイトに詳しく書かれているので繰り返すことはしないが、亭主が注目したのは、DACにWM8741をデュアルで使っていることと、32ポジションの固定抵抗をマイコン制御式リレースイッチ(ALPS製)で切り替えるアッテネータを備えている点だ。前者については、好みの問題もあるので評価は難しいが、後者についてはある程度比較が可能だ。
実際に親友のXavier氏宅に持ち込んで、NFB-10WM、セイデンの固定抵抗式アッテネータ、J.Riverメディアセンターのソフトボリウムで比較してみたが、NFB-10WMの音質が明らかに優れていた。
ちょっと聴いただけでも、エネルギー感、透明感の違いが分かったのには驚いた。極端な言い方をすれば、これだけでも音質の向上があるので、高価なパッシブアッテネータを買うことを考えれば十分に元がとれたとも言える。
audio-GDは、NFB-10とほぼ同じ仕様の単体DAC、NFB-1もラインナップしていて、どちらをとるか非常に迷ったのだが、今回は賭けが当たった。このアッテネータのおかげで、しばらく休眠中だったYAMAHA B-2をメインアンプの座に戻すことが可能になった。
ところでNFB-10WMにはUSB入力も用意されている。最近の流行であるオーディオクラス2対応ではないので、24bit/96kHzまでだがこの音質も気になる。
NFB-10導入前のけろこ堂の機器構成は、PCからのUSB入力をSOtMのdx-USBで受け、その同軸デジタル出力をFirestone BRAVOを経由してFirestone SPITFIREに入力するようにしていた。今回はDDCの比較をするためにBRAVOをはずし、dx-USBの同軸出力をNFB-10に入力した場合と、PCのUSBを直接NFB-10に入力した場合とを比較してみた。
その結果は優劣というよりも好みの問題というべきで、亭主の好みからすればdx-USBを選ぶ、ということになった。
NFB-10のDDCは、dx-USBに比べるとかなり「あまい」感じになる。人によってはこちらのほうがマイルドで聴きやすいと感じるかもしれないが、亭主としてはdx-USBの輪郭がはっきりした音が好ましく感じる。
この点については、Xavier氏も同意見だった。今後のエージングによっては状況が変化するかもしれないが、当面はDDCとしてdx-USBを使用することにしている。NFB-10のエージングにはそれなりに時間がかかるようで、使用時間が100時間を超えた今でも音質の変化が感じられる。しばらくは、いろいろなソースを試してみようと思う。
中国製のオーディオといえば、Toppingに代表される廉価なデジタルオーディオが引き合いに出されるが、Audio-GDは明らかに違うジャンルのメーカーだ。国籍に超えた「オーディオ屋」としての矜恃を感じさせるし、それはかつての日本のオーディオメーカーを彷彿とさせるものでもある。





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NFB-10WMのセットアップ状態。dx-USBがピギーバック。
見ての通り、かなり大きな筐体なのでセッティングには思いの外スペースが必要。
天板の鉛インゴットは気分である。