けろこ堂日乗(β版)

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萌える男

「萌え」という言葉がすっかり定着してしまい「なんだかね・・」と思っている方も多いだろう。

まぁ、言葉遊びはマスコミにまかせておけばよいが、ヲタクおやじである亭主は「萌え」に関しては実に複雑な心境を持っていることを認めねばならない。この本は亭主のそんな心境にかなり近い内容である。
あまり、こういうことを言うのは大人げないのかもしれないが、「エヴァとジブリがはやる以前アニメを見ていなかったような大人たち」が、「ジャパニメーション」とか「萌え」とか「世界に誇る文化」とか言って盛り上がるのは勘弁してほしいのである。それまで、さんざん「根暗」だの「おたく」だのと虐げておいて、今度はそれかよ、といいたくなるのを押さえるのは結構つらい。もう慣れたが。
この著者は、オタクであり、引きこもり経験者である。その著者が「萌える男」が世界を救う、と吠えているのだが、その論理性には首をかしげつつも、思わず同調してしまうのは、亭主も「萌える男」である証左なのだろう。著者の弁によれば、恋愛資本主義の主役であった「燃える男」たちは、恋愛資本主義市場の衰退とともにそのパワーを失い、それに代わって注目を集めるようになってきたのは、恋愛資本主義市場から全く疎外されていた(疎外されても全く気にしていなかった)「萌える男」たちだという。
この二元論はいささか単純過ぎるし、「萌える男」が著者がいうほど健全なやつばかりではないことは明らかだ。それでも「燃える男」側の論理で自分たちの趣味や嗜好の分野を引っかき回されることに、漠然とした憤りを感じているオタクやマニアの中には、本書を読んで「溜飲が下がる」方も多いに違いない。
さて、あなたは「クサカンムリな人」ですか、それとも「ヒヘンな人」ですか?



萌える男 (ちくま新書)

萌える男 (ちくま新書)