12番目のカード
お待ちかねのリンカーン・ライム・シリーズ最新刊である。ジェフリー・ディーヴァーには、短編集「クリスマス・プレゼント」で奇襲攻撃を受けまくったので、かなり気合いを入れて読んだ。その期待は裏切られなかった。ハーレム在住の女学生を襲った事件と、140年前に彼女の祖先が巻き込まれた事件という、どうにも結びつきようのない二つの事件を巡って、リンカーンの超絶推理が冴えわたる。その上、お約束の「これでもか!」というハラハラシーン満載である。読み始めたら最後、一気読みをせざるを得ないので、次の日が心配な方は休日に読むことを薦める。読み終わってみると、相当に強引なプロットであることに気がつくが、だから何だ、というところである。結局ディーヴァーの力技に翻弄されるのが楽しいのだ。サスペンスとか本格とかというレーベルを必要としない、このパワーはディーヴァーの最大の魅力だと思う。
リンカーンシリーズは、各巻の独立性はある程度配慮されているが、やはり第1作「ボーンコレクター」から読むのがベストだろう。そんなに時間が(お金が)ない場合は、最低限、前作「魔術師」、前々作「石の猿」、別シリーズだが「悪魔の涙」あたりは読んでおいた方がよい。
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