妖精の国の花
このところ、すっかり定例化してしまった自然教育園参り。今日は朝一番(といっても9時過ぎ)に行ってみた。
秋は名ばかりの暑さだったが、野草の顔ぶれは大分変化が出てきた。特に面白かったのは、ヤマホトトギス(ヤマジノホトトギス)、カリガネソウ、ツリフネソウといった草花だ。特に珍しい植物ではないのだが、亭主は初めて見るものばかり。その形の奇抜さにすっかり時を忘れてしまった。
どれをとっても精巧な工芸品のようなバランスの良さである。もっともこれは本末転倒な表現だ。古今東西の名工、アーティストたちはこうした自然の造形を徹底的に観察したに違いない。「自然の造形を観察する」この使い古されたフレーズの意味を今日ほど実感したことはない。
話は変わるが、「妖精視」という言葉がある。他人には見えない妖精の姿が見える人(の能力)のことだ。他人には見えないのだから証明のしようもないのだが、19世紀末の英国では、これが大いに話題になったことがある。有名な妖精の写真はこのころに多く作られたようだ。亭主は妖精が見えるようにないたいとは思わぬが、これらの不思議な形の植物を見ていると、花に腰掛けた妖精の姿を思い描くのは、それほど難しいことではない。
そういえば、小学校のころに読んだ名作「だれも知らない小さな国」の主人公は、あまりにも動きが素早くて普通の人には見えないコロボックルを見ることができる能力の持ち主、つまり妖精視能力者だったのか。あの頃は妖精視という言葉など知るよしもなかったけれど。
だれも知らない小さな国―コロボックル物語 1 (講談社青い鳥文庫 18-1)
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