けろこ堂日乗(β版)

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クリスマスに聴く古楽2011

前回この特集を組んだのは2008年。
その間にPCオーディオやらDACやらで、けろこ堂の音楽環境もずいぶん変わった。CDをリッピングしていると、すっかり忘れていたアルバムに出くわしたりする。そんなこんなでクリスマスに良さそうなアルバムを改めて集めてみた。














キャロル

キャロル

キャロル
AURA(アウラ)は、女声5人のアカペラユニットだ。5人とも声楽科出身の歌手ということだけあって、演奏はきわめてオーソドックスなクインテット。多重録音は使っていないと思われる。アニメ版「のだめカンタービレ 巴里編」ではクリスマス曲を担当した。「トッカータとフーガ」や「ゴルトベルク」をアカペラでやったりもする。このアルバムはなじみの深いクリスマス・キャロルが中心だが、アレンジが凝っており、それを歌いこなす歌唱技術も危なげない。特にコントラ・アルトは、テナーかと思うほどしっかりした低音を響かせる。安心して聴けるが只のクリスマスキャロルではない。
エトワール     (CCCD)

エトワール (CCCD)

エトワール
こちらも女声ヴォーカルグループ、アンサンブル・プラネタのアルバム。CMなどで耳にすることも少なくないプラネタだが、メンバーは2001年当初は5人でスタートし、途中で4人になっている。しかしながら、デビュー以来一貫して書上奈朋子がプロデュースとアレンジを手がけているため、テイストは統一されている。AURAよりもデビューは早く、ポップスやゴスペルではない、日本の女声アカペラグループとしてはパイオニア的存在だ。AURAはどちらかというとベルカントで唱うことが多いが、プラネタはノンビブラートで唱う。特にソプラノはボーイソプラノのような響きである。オペラの合唱などを聴き慣れた人には新鮮に感じられるかもしれない。AURAとプラネタともに「あらの野のはてに」や「オー・ホーリー・ナイト」を唱っているので聴きくらべてみると面白いだろう。
Cantate Domino

Cantate Domino

Cantate Domino(カンターテ・ドミノ)
オーディオ・マニアなら知らぬ者はいない超有名盤。ただし、CDとLPレコードとではかなり違いがある。亭主はこのソースに関しては、CDはLPに及ばないと思う。鮮烈・強烈という表現とは対局にある録音だが、これを完璧に再生するのは容易なことではない。「カンターテ・ドミノ」のトランペット管、「オー・ホーリー・ナイト」の通奏低音の微かな超低音など、ダイナミックレンジも周波数帯域も非常に広い。しかし、そういうマニアックな特徴に全く興味のない人にも十分おすすめできる、美しく敬虔な演奏だ。オーディオチェック用にばかり使っているのはもったいない。
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Advent En Kerst
ベルギー、ノルベルチヌ会アヴェルボーデ修道院聖歌隊

ISBN978-4-7896-5019-9

女子パウロ会発行
ADVENT en KERST(待降節と聖誕)
待降節とクリスマスに唱われるグレゴリオ聖歌。このアルバムは、ベルギーのノルベルチヌ会修道院の聖歌隊による演奏である。グレゴリオ聖歌は、8世紀ごろには存在したとされているが、そのオリジナルな形式は13世紀以降のポリフォニーや世俗曲の影響により失われてしまった。その後、19世紀後半にフランスのソレムにあるベネディクト会修道院によって再興がなされ、1907年に「ローマ式グラドゥアーレ」が発行されたことにより、今日我々が聴くグレゴリオ聖歌のスタイルができあがったといえる。しかし、グレゴリオ聖歌の演奏形式は、本来様々なものが存在していたと思われ、実際そのうちのいくつかは現在にも継承されている。このアルバムはその中のひとつ、「プレモントレ式グラドゥアーレ」による演奏である。ノベルチヌ会は古くからローマ式とはやや異なった曲を継承しており、この演奏もプレモントレ式である。染みいるような響きを味わってほしい。