けろこ堂日乗(β版)

けろこ堂日乗のHatenaブログ版です。

Prodigyの逆襲 PRODIGY STRIKES BACK

前回の結論にいたるには、かなりの試行錯誤があったのだが、結果的に比較の決め手となった試聴方法についてだけ述べておこう。まず、両者のアナログ出力は、同じ規準で比較することができない(Prodigy Cubeはスピーカー出力を備えていないし、RDA-520にはヘッドフォン出力が無い)。
そこでアナログ変換は除いて、まずUSBサウンドデバイスとしての音質比較を行った。

Prodigy Cube vs. RDA-520 その1(USBサウンドデバイス対決)

まず、USBサウンドデバイスとしての比較をするために、RDA-520の光出力とProdigy CubeのそれをVRDS-25XSに入力して試聴した。VRDSの音声出力はプリアンプYAMAHA C2を経由してパワーアンプYAMAHA B2に入力した。つまり、従来のシステムのアナログ系はそのままで、CDのトランスポート部をPC+USBサウンドデバイスに置き換えたということだ。最近ではこうした使い方をUSBトランスポートとも呼ぶようだ。なお、C2からは、スーパーウーファー用の出力を分岐させ、これをNEC A-10Xに入力し16cmウーファー2発の自作ASW(長岡式アコースティック・スーパーウーファー)を鳴らしている。
試聴ソースは
(1)IOCLATOULESより"Quant je sui mis au retour" (track 1)

Songs and Dances of the 13th T

Songs and Dances of the 13th T


(2)OSTINATOよりJohann Pachelbel "Kanon and Gigue" (track16)
Ostinato

Ostinato

  • アーティスト: Andrea Falconieri,Anonymous,Antonio Valente,Biagio Marini,Diego Ortiz,Francisco Correa de Arauxo,Henry Purcell,Johann Pachelbel,Salamone Rossi,Tarquinio Merula,Traditional
  • 出版社/メーカー: Alia Vox Spain
  • 発売日: 2002/01/08
  • メディア: CD
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(3)friendsより"take me home, country roads" (track 1)
friends

friends


である。
なお、foobar2000のOutputコンポーネントはWASAPIを使用、グライコ・コンポーネントは不使用、OSはWindows7である。
全般的な傾向としては、中高域にについてはほぼ同等だが、低域についてはProdigyの方が若干厚みを感じる。
(1)のソースでは教会の空間の広さと奥行きの表現、様々な打楽器の明瞭さなどの点でProdigy Cubeが僅かながら勝っていると感じた。また、タンブーラの硬質で乾いた響きや、細かなパーカッションのきめ細やかさにも違いが感じられ、いずれもProdigyが勝っていた。
(2)のソースでは、Prodigyのほうが低弦の響きに「腰」があり、より重心が低くなる。高域の伸びはRDA-520の方が勝っているが、聴きようによっては、やや高音がきつく感じられる。中域はあまり差が無い。
(3)のソースでは、Prodigyの方がヴォーカルの「艶」(こういう表現は避けたいのだが、他に言いようがない)が出る。また、ベースの力強さも勝っている。
こうして書いてみると、ごく僅かな差でしかないのだが、どちらを選ぶか、といえば現時点では迷うことなくProdigy Cubeだ。しかし、こうした差はエージングの差であることも考慮すべきなので、亭主としては両者の音質は優劣よりは好みの問題だとしておきたい。

Prodigy Cube vs. RDA-520 その2(システム対決)

次に、上記の条件のうちRDA-520のみ、VRDSとB2を経由せず、スピーカーを直結した状態にして比較してみた。他の条件は上記と同じであるが、これはもとより厳密な比較ではない。アナログ部分が全く違うからだ。言ってみれば、従来型のHi-FiオーディオのCDトランスポートをUSBトランスポートに置き換えたシステムと、よりピュアなPCオーディオシステムの比較である。
この場合は、明らかにProdigy Cube+B2が勝っている。例えば
(1)の音場は広大で、楽器の定位が三次元的にあらわれる。(2)も定位と音の艶やかさが増し、演奏の迫力が感じられる。(3)のヴォーカルのニュアンスが豊かになる。
RDA-520は、クリアな音質で十分に良い音で鳴らしてくれるが、両者を比較した場合の差は上記の場合より明らかで、亭主はProdigyを選ばざるを得ない。
けろこ堂のB2は30歳にならんとする老兵で、S/Nなどを言い出したら、まじめなHi-Fiオーディオファンからおしかりを受けるような代物だが、そうした問題で割り引かなくても、差ははっきりと出た。もちろんRDA-520のアンプ部のエージングがまだ十分とは言えないのは考慮すべきだが、仮にあと1年を経過したとしても、この差が埋まることはないように思う。
というわけで、けろこ堂のシステムは、PC+Prodigy+VRDS+C2+(B2+A-10X)という構成できまりかと思われた。ところが、実は思わぬ盲点があったのだ。(次回に続く)