けろこ堂日乗(β版)

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図書館革命

有川浩の「図書隊シリーズ」完結編である。
前作で見せた熱血さは、ややトーンダウンしているが、これは主人公笠原郁の心境の変化を反映しているのだろう。その分、郁と堂上の関係の変化に重きが置かれている。一言で言えば、完結編らしく、きれいにまとめた、というところか。
もちろん、これはマイナス評価ということではない。読者の予定調和願望を適度に満たしてくれるという点では、大変良く書けていると思う。
ただ、亭主としては、もう少し「本」そのものに対する思い入れが、語られてもよかったかな、と思う。メディア良化法というとんでもない設定があるからこそ成立した本作だが、その設定の制約も強力である。このバインドとどのように折り合いをつけるかは、筆者も相当に苦労したのではないか。その苦労の甲斐あってか、完結編として破綻なくしあがっていることは前述したとおりだ。しかし、もともととんでもない設定なのだから、別な展開もありだろう。筆者が抜いた伝家の宝刀は、この観点からは、ちょっと物足りない気もする。
いずれにしても、このシリーズが大ヒット作であることは確かなようで、早速にアニメ化されるという。プロダクションI.G.が制作するということなので、作画のレベルは心配あるまいが、脚本がどうなるか。スタッフ諸氏の奮闘を期待しよう。

図書館戦争

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図書館内乱

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図書館危機

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図書館革命

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