けろこ堂日乗(β版)

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実りの秋

9月に入ってもちっとも涼しくならない。まぁ、最近の東京はこんなものである。
自然教育園のWEBサイトをみたら、ヒガンバナが開花しているとある。早速観に行った。
確かに水生植物園の中に真っ赤なヒガンバナが咲いていた。まだ、数は少ないが、これからどんどん増えるのだろう。
ヒガンバナの学名は、Lycoris radiataという。Lycoris(リコリス)はギリシャ神話の海の女神だ、と書いている人が多いのだが、亭主はとんと心当たりがない。ローマ時代の詩人Gallusの恋愛詩でたたえられた女性の名がLycorisで、この名に因むという説(リーダーズ英和辞典)の方を採用したい。
ヒガンバナの別名は曼珠沙華。秋になると、何もない地面から突然茎が伸びて花をつけ、花が散ると茎だけが残る。この唐突さと強烈な赤は天上から降臨する華のイメージにあっていたのだろう。
一方、木々はそれぞれに実をつけている。特にゴンズイムクロジヤマボウシ、コブシなどの実が面白い。今まで、木の実といえばドングリくらいしか知らなかった亭主としては、これは小さな発見の連続だ。これらの樹木は公園や寺社で普通に見かけるものだが、こうした木々も花を咲かせ、果実を実らせるという事実を全く無視して生きてきたように思う。
そういえば、先週までは沢山いたトンボ達の姿はめっきり少なくなり、割れるように響いていた蝉の声も心なしか弱くなったようだ。鮮やかなアザミの花には、ツマグロヒョウモンの♀が訪れていた。
草川のそよりともせぬ曼珠沙華   (飯田蛇笏)
曼珠沙華消えたる茎のならびけり  (後藤夜半)
降り来たり陽に燃ゆるなり曼珠沙華 (華路古洞)

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