けろこ堂日乗(β版)

けろこ堂日乗のHatenaブログ版です。

時をかける少女

昨年の夏に公開され、制作会社も配給会社も予想しなかったロングランを記録した作品だ。
アニメ・ファンの間で評判が高かったのはもちろんだが、アニメに関心のない層の支持を受けたことが、ロングランの一因になったと、配給側は分析している。作品を観て確かにそうかもしれない、と思う。
亭主の世代にとって、「時をかける少女」=「タイムトラベラー」は特別な作品だ。NHK少年ドラマという悲しいほど低予算なのが一目でわかる作品に、当時の小学生は釘付けになった。毎日「タイムトラベラーごっこ」と称して小ネタをひねりだしては友人たちとじゃれあっていたものだ。
亭主よりは若干若いとはいえ、細田守監督もNHKドラマや原田知世主演の映画が絶大な支持を集めていることを当然認識していただろう。「時かけ」のアニメ化は誰もが一度は考えるであろう必勝プランであり、一歩間違えばとんでもない攻撃にさらされる諸刃の剣である。それを承知の上で、この原作に挑んだ細田の勇気に対して素直に敬意を表したい。
この駄文を読んで、万が一にも観てみようと思う方がおられるかもしれないので、ネタばれになりそうな話題は控えることにするが、原作通りのアニメ化でないことだけは承知しておいてほしい。主人公の性格や設定など、原作と同じ部分を探す方が難しいのだ。それでもこの作品は「時かけ」である。それも素晴らしい作品なのだ。
亭主はDVDの特典映像など滅多に観ない人間だが、この作品については細田監督のインタビューやコメントなどひととおり観た。やはり壮絶な闘いの末に世に出た作品だと知った。そして、作品はそんな闘いなど知らなげに、7月の青空のように突き抜けている。

時をかける少女 限定版 [DVD]

時をかける少女 限定版 [DVD]

時をかける少女 〈新装版〉 (角川文庫)

時をかける少女 〈新装版〉 (角川文庫)