昆虫−驚異の微小脳
この本は凄い。昆虫の知覚についてこんなに詳しく分かっていたのか！とショックを受ける。著者は「微小脳」というコンセプトの提唱者の一人。昆虫の脳・神経系に関する第一線の研究者である。本物の専門家が書いているので、いくら一般向けとはいってもかなり難しい部分もある。特に化学物質や器官の名称などはとても覚えられるものではない。それでも微小脳システムのすごさは十分に理解できる。ミツバチはなぜ花を認識できるのか、飛行中にどうやって三次元情報を処理しているのかなどなど・・・
しかもこの本で紹介されている研究内容はほとんどが実験に基づくもので、昆虫の視覚認識メカニズムなど、気が遠くなるような方法で測定された結果から明らかになったものだ。その根気と論理的な手法には頭が下がる。これらの研究成果の一部はセンサー技術などに応用され始めているようだが、今後マイクロマシン、ナノマシンといった微小システム技術への応用が期待できるのではないだろうか。
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