樹上のゆりかご
荻原規子の名作が新書版で再版。「西の善き魔女」のTVアニメ化でちょっと盛り上がっているおかげである。もっともカバーはすっかりライトノベル調になってしまったが。この作品は数ある荻原作品の中でも亭主のお気に入りの一冊だ。著者の出身高校がモデルになっているということだが、都立高校に詳しくない亭主は学校名を特定する自信がない。(もちろん読めば誰でも見当はつく。)
内容はミステリータッチの青春小説としかいいようがないのだが、あえていえば文科系ノベルだ。登場人物も不良(古!)とかは一切でず、みんな普通のおとなしい、どちらかというと秀才タイプの子ばかり。だから感情移入しやすいし、いらいらしないで読める。それでいて嫌味にならないところがこの著者の才能だと思う。作風は違うのだが、米澤穂信の「古典部シリーズ」と共通する雰囲気があるように感じるのは亭主だけだろうか。ふと昔を思い出したりする時に手に取りたい作品である。
- 作者: 荻原規子,香坂ゆう
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
- 発売日: 2006/06
- メディア: 新書
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